世界自閉症啓発デー2022・メッセージ [目次]

国連事務総長メッセージ (2022.04.02)

国連事務総長メッセージ


世界自閉症啓発デーによせて
 
 国連は、障害者権利条約と持続可能な開発のための2030アジェンダに沿って、自閉症の方々が完全に社会参加する権利を支持しています。

 「誰一人取り残さない」という誓約のもと、2030アジェンダは、障害者を含む全ての人々の社会的、経済的及び政治的なインクルージョンを通じて、不平等を減らすことに取り組むことを表明しています。しかしながら、いまだに多くの自閉症の方々が、施設内、あるいは家庭内においてさえも、差別され、所属するコミュニティから切り離されたまま、孤立して生活しています。

 新型コロナウイルス感染症の大流行は、学校、家庭、地域社会における業務の喪失や縮小を引き起こし、こうした不平等の多くを悪化させました。我々は、自閉症の方々を含む障害者の権利、視点、及び福祉が、新型コロナウイルス感染症の流行からより良い前進を築くのに不可欠な部分であることを確認する必要があります。

 その解決方法は、より地域社会に密着した、自閉症の方々への支援体制にあります。私たちはまた、自閉症の学生たちが、自ら希望する教育課程にアクセスできるような、インクルーシブな教育制度や研修プログラムを確立しなければなりません。そして、私たちは、自閉症の方々が自らのコミュニティの中で独立して生活できるよう、技術的な解決方法を利用できるようにしなければなりません。障害者とその代表組織との活発な協議は、こうした努力の中心にあるべきです。

 この自閉症啓発デーに、自閉症の方々にとって、インクルーシブで、公正で、持続可能な世界にするための私たちの取り組みを再確認しましょう。



2022年4月 東京 国連事務総長 アントニオ・グテーレス  

            (世界自閉症啓発デー・日本実行委員会事務局による仮訳) 

厚生労働大臣メッセージ (2022.04.02)

厚生労働大臣メッセージ

 
第15回世界自閉症啓発デー(令和4年4月2日)に寄せて
                   
 はじめに、新型コロナウイルス感染拡大防止にご協力いただき、これまでと日常生活が様変わりする中で、自閉症をはじめとする発達障害のある方々の生活を日々支えておられるご家族の皆様、地域で支援に携わっている関係者の皆様に心から敬意を表します。
 毎年4月2日は、国連の定める「世界自閉症啓発デー」です。今年で制定から15回目を迎えます。また、我が国では4月2日から8日までを「発達障害啓発週間」としています。
 日本自閉症協会をはじめとする関係団体の皆様のご尽力により、インターネットを活用した啓発動画の配信など開催方法を工夫しながら、今年も、世界自閉症啓発デー関連イベントが開催できますことに改めて御礼を申し上げます。
今年も、東京タワーや私の地元である長野県諏訪市にある高島城など、全国各地のランドマークを「癒やし」や「希望」などを表す自閉症のシンボルカラーである青色でライトアップする「ライト・イット・アップ・ブルー」などが行われます。国民の皆様には、こうしたイベントを契機として、自閉症をはじめとする発達障害への理解を深めていただきたいと思います。

 発達障害は、親のしつけや教育の問題ではなく、脳機能の障害によるものです。その特性は一人ひとり様々であり、自分の得意なことを活かして活躍されている方も数多くおられます。
 一方で、周囲の理解が十分でないことによって、その行動や態度が「自分勝手な人」、「変わった人」などと誤解され、生きづらさを感じながら生活している方もおられます。発達障害に対する正しい理解が社会に広まれば、周囲の方の接し方も変わり、そうした生きづらさも軽減されると考えています。

 発達障害者支援法では、乳幼児期から高齢期までのライフステージを通じた切れ目のない支援を実施することや、家族なども含めたきめ細かな支援を推進し、身近な場所で支援が受けられる体制を構築することなどが明記されています。

 厚生労働省においては、この法律の趣旨も踏まえ、各都道府県等に設置されている発達障害者支援センターを中心として、御本人や御家族からの相談に応じるとともに医療、保健、福祉、教育、労働等の関係機関と連携した専門的な発達支援や就労支援を実施するほか、ペアレントトレーニングなどの発達障害の特性の理解や適切な行動を促すための研修等に取り組んでいます。
 引き続き、こうした自治体を通じた取組を推進するとともに、子育て支援や教育等の分野でも適切な支援が行われるよう、関係府省と連携し、発達障害のある方がその力を発揮できる機会を増やしてまいります。

 今後とも、皆様の御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

 
令和4年4月2日      
厚生労働大臣 後藤 茂之
 
 

文部科学大臣メッセージ (2022.04.02)

文部科学大臣メッセージ


「世界自閉症啓発デー」に当たっての文部科学大臣メッセージ

 4月2日は、国連で定められた「世界自閉症啓発デー」です。また、我が国では、4月2日から8日までの1週間を「発達障害啓発週間」とし、自閉症をはじめ、発達障害についての正しい理解が進むよう啓発活動に取り組んでおります。

 文部科学省では、発達障害をはじめ、様々な課題を抱えている子供たちを誰一人取り残さず、可能性を最大限に引き出す学校教育の実現を目指すとともに、障害のある方が一生を通じて自らの可能性を追求し、その個性や能力を生かして活躍できるよう、学校教育、生涯学習、文化芸術、スポーツ等の各分野において、省内はもちろんのこと、厚生労働省等関係省庁とも連携し、横断的・総合的に関連施策を推進しております。

 また、この度、10年ぶりに「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」を実施しているところであり、その結果も踏まえながら、自閉症の子供たちに更なる学びを充実させるとともに、それ以外の子供たちに対しても、自閉症について理解を深めていくことができるよう取組を進めてまいります。
  
 結びに、この「世界自閉症啓発デー」や「発達障害啓発週間」が、全ての教育関係者等にとって、発達障害等についての理解を深め、本人や保護者の方々の気持ちに寄り添った支援について真摯に考え、実践する契機となり、障害の有無に関わらず誰もがその能力を発揮し、共生社会の一員として共に認め合い、支え合い、誇りを持って生きられる社会の実現につながっていくことを強く期待いたしまして、私からのメッセージといたします。
 
 
令和4年4月2日       
文部科学大臣  末松 信介